柿五つ - 無償の悪

母ヒロコと仲良くしてくれている母の従姉“チャコちゃん”(ヒロコがそう呼んでいる)が、『ずっと、ウチのハナちゃん』を、何十冊も買ってくださっているらしい。
そして、お友達やお知り合いの皆さんに、配ってくれているらしい。

さっき聞いて、おもわず手を合わせた。

ヒロコが言った。

ねぇ、アンタのあの本、
本当はチャコちゃんだけが
買ってたりして！
チャコちゃん一人だけが！
あとは誰も買ってなかったりして！
アハハハハハハ
アハハハハハハ
アーーハハハハハハ！！

チャコちゃんちの庭でなった柿、貰ったのよ、とろんとろんの柿、アンタ好きでしょ、ちょっとあげるわ

チャコちゃんさんの住む方面に向かって、こうべもたれる、いま帰りの電車。

秋。