無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

生活改善テーブル

okitsune2007-09-05

私は春に引っ越しをして今のウチに住み始めて4ヶ月以上経ったのだが、
ずっと、欲しいなあ、買わなきゃなあと思っているものがあった。
折りたたみテーブルである。
その折りたたみテーブルが、数日前から、やっとある。

もっと早く用意しようと思ってはいたのだが、
そこで買おうと思っていた地元の雑貨屋さんが閉店してしまったので、
なんとなく調達しそびれていたのだ。
わざわざそこより遠いところに探しに行く気もせず、
ご飯を食べたりお茶を飲んだりしたい折りたたみテーブルは、
とっても必要なのに無いままだった。
ご飯やお茶は、仕事の机ですませていた。
ところでなぜ折りたたみかというと、私は新居ではなるたけ物を置かないでいようと思っていたため、
普段は片付いていてほしいからなのだ。
寝る部屋には布団しかないし、仕事の部屋には仕事のものしかない。
ご飯を食べるキッチンの部屋も、同じなのだ。


数日前。
地元の商店街の家具屋さんにある、折りたたみテーブルを見た。
前からそこにあるのは知ってはいたが、私の欲しいのは木製の黄色もしくは緑色のテーブルだったため、
それではないそこの折りたたみテーブルに全然注目していなかったのだ。

でも、なんだかこのごろ、どうでもよいような気になってきていたのだ。いいかげん。
木製でなくても黄色か緑でなくても、
普段は冷蔵庫の横の隙間に折りたたんでしまえるサイズなら、と。
役目を果たしてくれるなら、と。
仕事部屋じゃなくて食べる部屋ですっきり気分よくご飯が食べられるなら、と。



その家具屋さんの、幾つかある折りたたみテーブルのうち、1つだけ、ほかと色味の違うものがあって、
値段もほかよりちょっと高かったが、
これなら一緒に暮らしてもいい、
なんだかそう思ったので、買うことにした。
4500円、と札にはあったけど、おじさんが3800円にまけてくれた。


さてその折りたたみテーブルが来てから、思わぬことになっている。


ご飯やお茶専用のテーブルができた、と喜んだ私は、なんと、
“自炊”をするようになったのだ。
私は普段、なにもしない。料理は、気が向いたときにしかしない。
適当に生きてきたのだ。
その私が、ちゃんと食事を作っている。
野菜たっぷりで、なるたけ見栄えもいいように工夫して。


それだけではない。
ちゃんと布団で寝るようになったのだ。
いままで仕事の座椅子で疲れたらそのまま寝ちゃったりしていたのだが、
隣の部屋に布団が敷いてあるというのに面倒くさがって適当に寝ちゃっていたのだが、
あのテーブルが来てからというもの私は布団で寝ている。


それだけではない。
お風呂はお湯をはって、体を温めるようになったのだ。
いままではほぼシャワーだけのお風呂だったのだが、
しっかり湯船をつくって、貰ったハーブを入れてみたり(葉を袋につめてお湯でほぐすやつ。デトックスハーブという商品名)みたり、行って見たい温泉名のついてる入浴剤を試したりと。


それだけではない。
新聞、とろうかなあ、とさっきから思っている。


それだけではない。
新聞とったら、テレビ欄があるから、テレビ観るようになるかもなあ、と思っている。
私は長い間、テレビを観る習慣を失っていたのだ。



どうやら、
いいかげんやっとテーブルを買ったことで
いいかげん○○しなきゃあ、
というそのいろいろが、
連動しだしたらしいのだ。


あのテーブルは、まだなにか私を変えようとたくらんでいる。