無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

新しい記憶

仕事をしている最中、よく音楽を聴いている。
しょっちゅう好んで聴く曲・CD、たまに聴くもの、いきなりブームになってひたすら繰り返し繰り返し聴いてしまうもの、もう20年以上、とにかく心の曲で、すがるように聴いてしまうもの、いろいろある。

たとえばある時たまたま好んで聴き続けた曲やCDが、その当時の自分の状況と親密に重なって記憶に残っていて、聴くたびにその時の気分を思い出すこともある、が、それが心地よい場合と、そうでない場合がある。もう過去すぎて、記憶が薄く、どうでもよくなっている場合もある。まだ生々しい場合もある。知らないうちに記憶が塗り替えられていることだってある。


年末。私は、何の記憶もない曲が欲しくなった。
新年になって仕事するときに、それ聴いて描きたいと思った。

12月の終わり、いつものように神保町の文房堂に画材を買いに行った帰り、御茶ノ水駅そばのCDショップで、物色した。もう買うものは決まっていたけれど、あれこれ見るとどれも欲しくなって、新しい記憶の元が沢山あるのだと思うと嬉しかった。買ったのは古CD。そこには知らない誰かの記憶があるくせに私にとっては全く新しい、というのがなんだかおもしろかった。


いい感じの新年、満喫中です。