無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

そのときまで

またそろそろ捨てるものがあるような気がして、棚を見たら、そういうものがごっそり出てきた。
思った以上にごっそりだった。



前回これをやったのは、去年のいつだったか覚えていないが、そんなに経っていないと思う。
前回、まだ取って置くものだったものが、この暫くで、すっかり要らないものになっていた。
いつまでたっても大事大事なものもあるけれど。


このような捨て作業をするときというのは、やはり自分の中から要らないものがやっと出てきているときが多い。
去年の春頃、自分の中で長年蓄積していた要らないものの姿がはっきり現れ、半年くらいかけて、具体的に掴んでは出し、また掴んでは出しを続け、随分良くなった。その間、右手首の不調が相当な猛威をふるっていたのだが、その解毒が済んだ12月初め、やはり、痛みが治まった。私は痛みを頼りに自分の中の要らないものを探しあててきた部分があるので、なるほどなあと思った。


そして懇願した。この要らないものが出て行ってくれたので、またその下にある、もっとわかりにくく潜んでいた要らないものが、やっと浮上してくるだろう、いつものごとく。それを救ってはやく出してやりたい、と。


願いは早速叶う。
ちらちらと小出しのそれがしばらく続き、そのあと、軌道に乗ったようで、2月に入った頃からすっかり解毒モードに突入している。

解毒モードにも変化があった。
深刻にならないで解毒することができるようになってきた。
ローはローなのだが、前より信頼感のある、大舟に乗って、には、残念ながらちょっと欠けるけれど、中舟なロー。

前回より、中味は少しきびしい。なにせここまで見つけられないほど自分に隠して潜ませていたものだから。わからなく蔓延させていたがゆえに、いいように世界に不都合を映し出してきていたソレがいなくなった私は、もう、その過去を使わなくて済むから、そのぶんただただ楽しめばよいだけになれる。楽しき解毒。