無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

そういえば、みていた

真ん中に向けて緩やかに窪んでいる、向こうまでずっと続く大きな山頂を歩いている。木などははえていない。
もともとそこの空はいつもにぶい色らしく、濃いグレーに青っぽい色が混じったような曇り。
割と人の姿がある。
私は数人と一緒にいて、どうやら友人というのではなく、何かの関係者に案内されている様子。


目線をあげると、宙に、あちこち、*、のような模様が浮かんでいる。*より本数が多いものが圧倒的。
よく見ると、それは、浮かんでいるのではなく、相当高さのある、幅の狭い、つまり細長い塚が山頂に幾つもあって、その頂点縁に刻まれた模様だった。

そしてそれは時計だった。

よく見るとどこの塚にも数人が頂点付近にいて、一人が紐でぶら下がり、*の筋を、ぴし、ぴし、と刻み付けているのだ、短針と長針を現して。この今の時刻を。
尖った長い道具を使っているのか、体で刻みつけているのか。


時が流れても移動するわけではなくずっと同じ場所に筋を付けているから、時計を現しているようには見えなく、*みたいに見えてしまっているのだ。


いま刻もうとしても、なかなかうまくいかず、そうは筋を付けられない。

彼らには、彼らの、そうせずにはいられない心境があるらしい。


ぼんやりとそれを見ていた。



夢の話。