無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

のけぞって首と腰いためるのが関の山


少し前まで仕事でお世話になっていた編集Kさんは、長い間バイヨリンを習っていたそうで、私がバイヨリン習い始めるようになって「あごにあてる布を集めている」と言ったら、そういう楽しみもあったか!と笑ってくれた。そしてふと思い出したように、そういえば柄モノの布を使っている人って見たことないです、と教えてくれた。

今のところ、無地のは持っていない。

手前の水色のは、奈良に行ったときに大仏のとこで見つけたもの。柄の中に、鹿、ちゃんといる。
ところであの鹿、奈良公園の中で売られている鹿せんべいを喜んで食べるが、観光客がせんべいを手に持っていると客にタックルして群がって喰らいつくのに、店先に置かれているせんべいには手を出さない。地元のカメラマンさんに聞いてみたら、ああ、あれはね、店の人がちゃんと躾けているんですよ、たたいたりして、と教えてくれた。たたいたりして(笑)。



さっき、YouTubeでおそるおそる川井郁子を観た。
広げた手の、指の間からのぞくように、観た。
私がもし、郁子ほどの美貌の持ち主で郁子ほどの女っぷりの所持者で郁子ほどヴァイオリンが弾けたとしても、果たしてこれができるだろうか、いやできない。そこが私の人間の小さいところである。パフォーマンスとしてナルを導入できる人はデカイのだ。


明日、練習中に、郁子の真似してみようか。
口は半開き、目の瞳孔ひらいて、上半身のけぞって、胸ぎりぎり出して。
自分たたき。
ギャグでしか出来ないところから、果たしてはなれられるか。躾ければ境地ありか。
柄モノはナルでなく、自虐。