無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

いつもの貴方

okitsune2009-08-27

堀切の家では考えられないことだが、標高千メートルのこの山の家に来ると、家の中に虫がいるのが当たり前になる。どっかから侵入してくるのだ、いろいろ。蛾も蜂もカブトムシもカマドウマもよく名前のわかんないのも。


こまる方は、例えば暴れて気になる蛾とか、ヤル気まんまんの蜂の皆さんとかは、退室願う。捕獲して出すか、窓際に追いやって行ってもらう。蜂は出禁にしたいが、アチラだって入りたくて入ってくるのではない、たまたまルートにウチがあって、ちょっと間違っちゃっただけなのだ、だから仕方ない。


ここ数年、必ず台所で見かける方がいる。写真の彼(彼女)だ。見えるだろうか。数年に渡るということは、代々なのだろうか、いつも、“ちょっとした隙間口”がお気に入りらしく、そして、かなり長く、そこから離れない。今年は、昨日から、洗った食器を入れる籠の、手を引っかける部分にいらっしゃる。
ここなら、いい。


2年前だったか、ヤカンの口に陣取られたことがあった。どこに何が突然いるかわからないから、何か使うときは必ずあちこち確認して使う。この時も、沸かす前に気付けて良かった。
爪で軽く口まわりをカンカンしても、動かない。多少強くしても、変わらない。振っても、動じない。水が少し入っていたので、かわいそうだけど、それをヤカン口から出しても、なんと平気。水びたしの姿で、触角だけユラユラしながら、門番のように居続けるのだ。

あの時私は結局どうしたっけ。
忘れたけれど、どうにかどいてもらって、やっとヤカンが使えた。数時間後、またお茶をいれようとしたら、また口の所にいて、またなかなかお湯を沸かせてもらえなかった。


今年の、食器籠なら、また洗う時にどいてもらうけど、基本かまわない。どうぞどうぞ。