諦念
私はティッシュカバーに関心を抱いたことがないし、たぶんこれからもなさそうだ。
そして人は、欲しくないものを得てしまう機会がわりとある。
今日、実家に寄ったら、これね、どこかの学校みたいなとこの、生徒のお母さん達の手作りらしいわよ、と、ヒロコが差し出してきたのだ。
ああティッシュカバーよ。
ヒロコと私は趣味が合わない。
もう私になにも買わないでくれとヒロコにお願いをしたことが何度あったことだろう。しかしまたヒロコは私に私の要らないものを買う。
ヒロコが私に対して成功したプレゼントといったら、帽子とマフラーのセットだけ。これだけは気に入って、ずいぶん前に貰ったものだけれど、今も大切に使っている。今日もその帽子をかぶって帰ったのだ。
さて。
ヒロコが私にティッシュカバーを差し出したとき、そのさすがのセレクトに感心した。お母さん、これぞまさしく私の要らないものですよ。
で、なんかもう、闘わず、貰ってみた。
あまりに小さなことだし。
どこかのお母さんの手作りならば、うん。
互いに体調を崩しているのも原因かもしれない。
帰宅後、ティッシュを包んでみた。
いろんな色のステッチが可愛い。
存在としてのティッシュカバーに、相変わらず評価はないけれど、ステッチは可愛い。
猫好きだからといって、猫柄がなんでも好きなわけじゃない。わかってくれとは言わないが。
そう、もう、これ以上、言わないが。