無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

okitsune2013-12-09

旅の手帖のかけ湯くん取材で、某雪国の駅で、乗り換えする為に降りた。
階段をのぼって向こうのホームに行く途中、窓から、駅前の景色が見えた。
やっぱりここだった!と思った。


4〜5年くらい前に、他の取材で、この駅前の宿に泊まったことがあったのだった。この駅周辺に用があったのではなく、翌朝、ここから出発するのが都合がよかったため、ただそれだけで泊まっていた。
宿は、あまりに静かなビジネスホテルで、その宿以外も数件あったけれど、一番の駅近はそこだった。経費もあまりかけてはいけないだろうと思って極控えめを選んだ。それだけの理由で選んだ。
ただ移動の為にやってきて滞在した、ということもあって、
自分にはまたいつかこの静かな駅にやってくる日はあるだろうか?勿論この沿線にいつかとっても行ってみたい所はあるのだけれど…それにしても、まだ縁はあるのだろうか…、などと、なにやら当時しみじみ思っていたのを思い出したからだ。
そういえば、ちょっと気弱な時期だった。


窓から、やっぱり今も変わらず静かな佇まいの宿を眺めて、その隣にあるコンビニも健在で中に併設されている焼きたてパン屋さんの看板も無事で、そうだった、あそこでパンを買ったっけ、そうだった、などと、出発に30分以上猶予があった為にけっこう長く、さまざまを懐かしんでいた。
あの気弱も懐かしんだ。


また会えた記念になにか買いたくなった。なにか土地のお菓子がいい。
改札出たとこに売店があって、あそこになんかあるだろうと。
駅員さんに、買い物したい旨伝えて、ちょっと出してもらい。

板状のお団子は賞味期限が早かったので断念、人気2位と記されていた、かりん糖、にしてみた。ひとつひとつが大きくて、食べるの大変そうなのが面白かったから。

にこにこの気分で、ローカル線に乗り、出発。
取材先は、なんと、その4〜5年前に来たときにも、いつかとっても行きたい所、と思っていた、その温泉と一帯。




うん、って思った。
うん、って。




写真はそのかりん糖