無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

知らない女

昨夜。
妙に顔が痒くて、赤くなっていたので、もしかしたら、試供品で貰った化粧品を夕方試しに使ってみたのが、合わなかったのかな・・・などと推測。私、何度かやっているのだ、合わなくて顔が荒れる、というのを。

その今回使ったものっていうのは、“化粧水と乳液と美容液とクリームが一体になった”という某で、無香料・無着色は勿論、アルコールもパラベンも石油系界面活性剤も不使用、パッチテスト済み、の、まあ、とりあえず不安材料は与えないをうたっているタイプ。

でも、私、何度かやっている顔荒れ、いつもこういう、肌をいたわるをウリにしているタイプのもの、なのである。ちなみに、そういうのをウリにしてない、ごくフツーのもので、荒れたことは、一度も無い。といっても、美容への関心がかなり希薄なほうなので、一度も無いといっても、経験豊富な中の表現、ではないわけなのだが。

でまあ、とりあえず、不慣れなものを使うときは、多少警戒して使っていたりしていた。以前は。

人はさまざま忘れていくものである。

最近はちっともそういう事件が自分になかったものだから、うっかり、警戒のけの字もない勢いで、貰ったからやってみるか、を、したのだ。

だから昨日寝る前、まだらに赤い顔を見て、よく見ると目まわりの肉の様子がぷっくりとおかしく膨れ上がっているのを発見して、翌朝にむけて覚悟をきめた。また、アレになるのかも、と。

今朝、目が覚めた瞬間、顔の感触で、昨夜の覚悟は間違ってなかったと、鏡を見る前にわかった。顔全体がもったりとしていて、かつ、ひきつれている。痒い。

やれやれと起き上がって、鏡、見た。

知らない女がそこにいた。

道で知人とすれ違っても、きっとわかってもらえない変わりっぷり。な、だけでない。
このまま外に出たら、なにかが気の毒な人、の印象に違いないご面相。

勝てる顔。敵なし。

二度寝した。起きたら治っているかも、などという、ちょっとした無駄な慰めを胸に。

起きた。

相変わらず妖怪。

いつもこうなるとつくづく思うことなのだが、私は顔が腫れると、なんかの深海魚に似る。
うん、こういうの、いる、って毎度思う。

諦めて、今日の午後の予定を無しにすべく、相手方に連絡、同情され。


震災以降、食料は備えをするようになったので、数日家から出なくてもなんの不自由もない。もしなにか突然要りようが浮かんだら、暗くなってから電燈を避けて歩けばいい。店内では帽子でもふかくかぶっていればいい。

今日、堀切は菖蒲まつりである。
家の前の通りも、お囃子を奏でる列が元気な音と踊りの賑わい、地元の人も観光客も、みんな楽しんでいる。

だから私、外に出ず。家の窓の、そのカーテンの陰に隠れて、隙間からひっそり観賞。
この形相で出てったら、子どもが泣く。

闇・に・かーくれて生・き・る♪

口ずさんでYouTube出す。
いまさらながら、この曲は凄い。しびれながら聴く。
作曲・編曲の田中正史さんを検索、黄金バットもサスケもこの人だった。
心酔。
2010年に亡くなられたそうで、しばし胸の中でその偉業に感謝。


昼過ぎ。
痒みがけっこうおさまってきて、鏡みたら、あら、あら、はやくも人間に戻っていた。へえ。

まだ目つきが全然違うし、顔重いし、なんなのだが、妖怪ステージには、いない。

しばらく肌ごわごわだろうし、色も変だろうけど、これなら電車乗れる。火曜と水曜の打ち合わせに行ける。


ちなみに代謝をよくしようと、二日酔いの薬、酒呑みどもの御用達で知られる、ハイチオールCを服用した。くすりまけにも効くって書いてあったから。
万能。
愛しのハイチオール。