ウチのケロちゃん
月曜日に実家に行った時に、ヒロコがこぼした。
「最近、蛙が住みついちゃってね・・・」
ウチの庭に巨大蛙が現れるという。
私、27歳まで実家で暮らしていた。生まれてからその間、ウチの庭で一度も蛙なんて見たことがない。
私が出て行ってから、蛙が出没するようになったらしいのだが(私がウチを出て行ったあと、ウチの猫、ハナがガマを捕獲した事件は、日本出版社刊「ウチのハナちゃん」でどうぞ)、その因果関係はわからない。
ウチ近辺は普通の住宅地。船橋駅から徒歩10〜15分の、蛙なんぞ居ないだろうよ、という所の家なのだ。
そこにでっかい蛙がわざわざ住みつくという。
ヒロコ、ケロちゃんと名付けてみたという。
ケロちゃんね、すごいのよ・・・・
ヒロコ、ゴキブリはまるで平気だ。だけどでかい蛙はニガテ。
そういうね、可愛い蛙さんならいいのよ、でもね、ウチのケロちゃんときたら・・・・
想像を絶するぶりのぶっさいくぶりだという。
とにかくひどいのよ、いきなり現れてね、私の庭に居るのよ、居た所はへこんでいるのよ、蛙形に・・・。ちっとも可愛くないのよ・・・・
あれこれ植えてある華やかなヒロコの庭に、無理やりごっつごつのいぼいぼが登場、どこも褒めるところがないという。
昔、ウチのハナが若い頃だったら、庭の侵入者なんて許すわけがなかった。すぐさま退治したことだろう、でも、もうハナは14歳のおばあさん、ウチの中ですごす時間が多く、どうやら巨大蛙の存在にまだ気づいていないという。
私ね、ケロちゃんに言ったのよ、それとなくね・・・
拠点をウチから移してほしい旨、伝えたらしいが、そんなこと知ったこっちゃないケロちゃん。いつまでたってもどかない。しかもそれだけで済まなかった。
ご近所の方がね、そうやって蛙が住み着くのはいい証だって・・・・。
縁起物という噂をきいて、以来ケロちゃんに強くものを言えなくなってしまったヒロコ。
ケロ氏、相変わらウチの庭でのうのうとしているらしい。
果たして縁起物の役目を果たすのであろうか。