無償の悪

松本英子。漫画、イラスト業。

意外な趣味

実家に帰ったらいつものごとく、ハナがコタツの中にいた。あったかいあったかい。

ハナ、時々、この寒いのに外に出て行く。しばらくどこかへ散歩でもしてくるのかなんなんだか、短い時間だが、すっと出て行く。

出て行ったあと、ちょっとしたら、ガラス戸の向こうに白いかげが見えたので、ハナがいまおもての通路を歩いているのがわかったから、チラッとのぞいてみた。そしたら。

ハナ、外の、ガス工事を見物していた。

や、もちろん、大きな音がするし何人も人が動いているしいろんな物が登場するので、それは外に出たときに人間でも猫でもふと注目してしまう光景なのだろう。一瞬、気をとられるだろう。

しかしハナは見入っていた。

ウチのハナ、人に慣れない。私と母親以外には近寄らないし、そもそも人が来ると姿を見せない。大きな音が苦手で何か響くとすぐに逃げていってしまう。

そのハナが、多分ある程度離れた場所からだからだろう、好奇心をにじみだした姿でガス工事に注目している。

たしかに工事というのは人間から見たら面白いと思うのだ、“あんなふうにするのか、あ、何か来た、危ない危ない、へえ〜そんなことするのかあ・・・”などと。

しかし猫から見ても注目すべきことだったとは、これまで知らなかった。

ハナちゃん、ガス工事、楽しい?


冷えたのだろう、すぐにコタツの部屋に帰ってきたハナ。
ハナちゃん、どうだったガス工事、

聞いた私にとくに何もこたえず、ハナはコタツに入っていった。

ウチのハナちゃん

ウチのハナちゃん